カルシウムとビタミンDの純機能
カルシウムは骨の健康に寄与する主要な栄養成分です。また、体内で血管の収縮や拡張などの主要な役割を担っているため、カルシウムの摂取は欠かせません。特に、エストロゲンの減少によりカルシウムの吸収が困難になる更年期、閉経後の女性や骨量減少が起こる老年期の成人の骨粗しょう症を予防する効果があるため、カルシウムサプリメントの需要が高まっています。
私たちの体に重要なカルシウム、しかし、独立して腸で吸収される含有量は10～15％で、ビタミンDが体内に十分にあってはじめて30～40％の含有量を効果的に吸収することができます。そのため、カルシウムの吸収促進のためにカルシウムと一緒にビタミンDを摂取することもあります [Curr Rheumatol Rep. (2008) 10(2): 110–117.]
カルシウムとビタミンDの副作用
しかし、カルシウムとビタミンDは必ずしも良い影響を与えるとは限りません。カルシウムとビタミンDの役割を再評価するために様々な研究が行われ、カルシウムとビタミンDと心血管の健康との関連を調べたメタアナリシスでは、カルシウムとビタミンDのサプリメントを摂取した女性集団は、摂取しなかった女性集団よりも、脳卒中を含む心血管疾患のリスクが高いことがわかりました。
カルシウムサプリメントが心血管疾患に及ぼす影響
約29,000人の参加者を対象とした13の無作為化プラセボ比較試験（WHI CaDを含む）に基づくメタアナリシスでは、カルシウムサプリメント単独およびビタミンDを含むカルシウムサプリメントの摂取により、約1,400件の心筋梗塞および脳卒中が発生した事例を示唆し、カルシウムとビタミンDが心血管疾患のリスクを増加させるという根拠を [BMJ. (2011) 19:342:d2040]
また、992,129人の参加者を対象とした105件のメタアナリシスでは、ビタミンDやカルシウムなどのサプリメントの補充が心血管の健康に及ぼす影響を調査した結果でも同様でした。カルシウムとビタミンDのサプリメントの同時摂取は、脳卒中のリスク増加、および心筋梗塞のリスク増加と関連していることがわかりました。
[Ann Intern Med (2019) 6;171(3):190-198]カルシウムとビタミンDの副作用を防ぐには？
これらのメタアナリシスの結果は、カルシウムの摂取を促進するためのビタミンDはカルシウムの吸収を促進しますが、カルシウム過剰による血管石灰化や心血管疾患を引き起こす可能性があることを意味します。
カルシウムが骨に届かない理由は、体内のビタミンK2の欠乏にあります。ビタミンK2はカルシウム代謝の調節に不可欠な役割を果たす栄養素です。ビタミンK2は、MGP、オステオカルシン(Osteocalcin)の2つのタンパク質を活性化することで、骨へのカルシウムの吸収を促進し、血管内のカルシウム蓄積を抑制する役割を果たします。MGPは、血管にカルシウムが過剰に蓄積するのをブロックすることで、心血管の健康を改善し、脳卒中などの心血管関連疾患を予防します。オステオカルシンは、骨へのカルシウムの吸収を促進し、骨粗しょう症などの病気を予防し、骨や歯の健康を促進します。つまり、カルシウムとビタミンDは、ビタミンK2が十分に存在することで本来の機能を発揮することができます。
ビタミンK2の効果
ビタミンK2、カルシウム、ビタミンDを共に摂取した場合、そうでないグループよりも骨折の確率が25％低くなりました。日本での研究では、ビタミンK2が脊椎骨折を60％、股関節骨折を77％、非脊椎骨折を81％予防する効果があることがわかりました。 [J Nutr Metab. (2017);: 6254836.]
また、55歳以上の健康な男性と女性4,807人を対象に、ビタミンKの食事摂取量と心血管石灰化や様々な原因による死亡率との関係を評価しました。この研究では、ビタミンK2を1日最低32マイクログラム（mcg）摂取するだけで、血管（動脈）の石灰化に関連する心血管疾患による死亡の可能性を50％減少させることがわかりました。 [Integr Med (Encinitas). (2015); 14(1): 34–39.]
ビタミンK2を補給する方法
ある統計によると、97％の人はビタミンK2が不足していると言われています。これは、現代社会でバランスの取れた食事を維持することが難しい大多数の人に該当します。特に、K2が豊富な食品(納豆など)の摂取が減少するにつれて、私たちは食品以外の追加的なビタミンK2の摂取が必ず必要です。
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[参考資料]
- Calcium supplements with or without vitamin D and risk of cardiovascular events: reanalysis of the Women’s Health Initiative limited access dataset and meta-analysis
- Effects of Nutritional Supplements and Dietary Interventions on Cardiovascular Outcomes: An Umbrella Review and Evidence Map
- Vitamin D and Calcium Supplements: Helpful, Harmful, or Neutral for Cardiovascular Risk?
- Proper Calcium Use: Vitamin K2 as a Promoter of Bone and Cardiovascular Health
- Calcium Supplements and Risk of Cardiovascular Disease: A Meta-Analysis of Clinical Trials
- Calcium and Vitamin D: Skeletal and Extraskeletal Health
- Vitamins K1 and K2: The Emerging Group of Vitamins Required for Human Health